毎年のように芝・ダートでレコードが更新され、各地の平均気温も昔と比較するとかなり高くなっている近年の競馬。
昔と今をひと括りにすることは正解なのだろうか?より細分化された情報が必要なのではないか?
と考え、競馬天気では馬場・気候というファクターに注目し2004年より独自の馬場・気候分類を実施。
それに基づいた各馬の競走成績を表示できる仕組みを作りました。
まず、馬場面での狙いについて。
現在JRAでは4分類(良・稍重・重・不良)に馬場を細分化していますが、世界的に見た時に日本の馬場分類は極端に少なくなっています。
以下、競馬主要国での馬場状態を示す区分をご覧下さい。
※上に行くほど硬い馬場、下に行くほど軟らかい馬場となります。
| イギリス | アメリカ | フランス | ドイツ | 香港・シンガポール | 日本 |
|---|---|---|---|---|---|
| Hard | Fast | sec | hart | Firm | 良 |
| Firm | Firm | tres leger | fest | Good to firm | |
| Good to firm | Wet Fast | leger | gut | Good | |
| Good | Good | assez souple | weich | Yielding to good | |
| Good to soft | Muddy | souple | schwer | Yielding | 稍重 |
| Soft | Yielding | tres souple | tief | Soft to yielding | |
| Heavy | Sloppy | collant | Soft | 重 | |
| Soft | lound | Heavy to Soft | 不良 | ||
| profond | Heavy |
この表を見れば明らかで、日本の馬場分類は各国と比較した際に極端に少ないことがわかります。
「時計がかかる馬場」とひと括りにされているフランス・香港はそれぞれ「9」「7」種類もの馬場分類があり、
馬場というものが世界的に見ても重要視されていることが馬場分類の多さから伺えます。
そこで、競馬天気ではJRAを馬場分類4種類をさらに仕分け、馬場分類を7種類に細分化しました。
良で水分が少ない馬場→良(水少)
良で稍重に近い馬場→良(水多)
稍重で良に近い馬場→稍重(水少)
稍重で重に近い馬場→稍重(水多)
重で稍重に近い馬場→重(水少)
重で不良に近い馬場→重(水多)
不良→不良
中間の雨量や雨の予想と降った雨が馬場にもたらす影響を解析。これから降る雨に対しては、雨の降り出すタイミングと時間雨量を予測。
中間に降った雨については、雨量の把握と乾く速度を解析することで精度を高めています。
各競馬場の開催時期も重要なポイントです。例えば寒い時期の小倉開催などは中間降った雨が週末のレースまで残り続け、
馬場の回復(特にダート)が極端に遅くなります。競馬場や時期別で臨機応変に馬場の精査方法を変えることで高い的中精度を実現しています。
●JRA4分類と競馬天気7分類の馬場出現率
| 馬場 | 競馬天気芝 | JRA芝 | 競馬天気ダート | JRAダート |
|---|---|---|---|---|
| 良⁄水少 | 76.0% | 81.9%(良) | 54.9% | 64.2%(良) |
| 良⁄水多 | 5.9% | 9.4% | ||
| 稍重⁄水少 | 7.6% | 10.1%(稍重) | 8.3% | 16.3%(稍重) |
| 稍重⁄水多 | 2.4% | 8.0% | ||
| 重⁄水少 | 4.9% | 5.9%(重) | 7.6% | 11.8%(重) |
| 重⁄水多 | 1.0% | 4.2% | ||
| 不良 | 2.1% | 2.1%(不良) | 7.6% | 7.6%(不良) |
●馬場予測の精度の高さを実証〜2012年 前日の馬場予測結果
また、当日の天候が不安定な場合、馬場仕分けを良:60%◎、稍重:40%○とパーセンテージ表示することでさまざまな馬場の可能性を想定。
反対に中間雨もなくまず間違いなく良馬場だろうという時は良馬場90%◎と取ることで、良馬場でもよりパンパンな馬場だということを伝えます。
上記仕分けは気象庁発表の天気予報に基づきプロの気象予報士が解析。
目に見えない馬場状態を細分化し的確に表示することで可視化が可能になるのです。
次に、気候面での狙いについて。
「夏馬」「冬馬」という言葉は関係者コメントからも聞かれますが、それを可視化する仕組みは実装化されていませんでした。
イメージや記憶の範疇で語られてしまう「夏馬」「冬馬」、また新しいジャンルとして涼しい・暖かいという寒い・暑いとはややズレた分類から
激走馬・狙い馬を見出せないか?という試みが気候・季節分類の細分化につながりました。
●競馬天気では、季節・気候を通じて気候別・気温別に成績を分類!
そこで、競馬天気では激走・凡走の正体を明らかにするため、季節・気候を通じて気候別・気温別に成績を分類。
その馬の好走時期・凡走時期が可視化できるようにしました。
【季節分類】
3〜5月→春
6〜8月→夏
9〜11月→秋
12〜2月→冬
【気候分類】
12℃未満→寒
12℃以上〜18℃未満→涼
18℃以上〜25℃未満
25℃以上〜30℃未満
30℃以上→酷暑
気象庁観測点データに基づき気候を5分類(寒・涼・暖・暑・酷暑)。その気候に応じた気候成績を提供しています。
5分類の気候、4分類の季節出現率は以下の通りです。
| 気候 | 出現率 | 季節 | 出現率 |
|---|---|---|---|
| 寒(12℃未満) | 29% | 春(3月〜5月) | 26% |
| 涼(12℃以上〜18℃未満) | 22% | 夏(6月〜8月) | 27% |
| 暖(18℃以上〜25℃未満) | 25% | 秋(9月〜11月) | 24% |
| 暑(25℃以上〜30℃未満) | 17% | 冬(12月〜2月) | 23% |
| 酷暑(30℃以上) | 7% |
一年を通じてもっとも出現率が高いのは気候/寒(〜12℃)。
気候/寒が「〜12℃」と設定されているのは12月東京の平均気温かつ競走馬の冬毛が増してくる時期という理由によるものです。
出現率の高さには春や秋でもその日だけが極端に寒かったり、午後は気候/涼でも午前中のレースは気候/寒スタートという理由があり、
気温が低い午前は気候/寒の良績馬を、気温が上がる午後は気候/涼の良績馬を狙うという手法も有効と言えます。
ここでは、これまでのいきさつを踏まえて実例として馬場・気候ファクターで見た際の特徴がある馬を取り上げます。
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●馬場ファクター事例その1 セイクリムズン
2013年6月終了時点で15勝を挙げているダート界の古豪。
2013年はフェブラリーSで16番人気4着とあわやの好走を見せており、依然として能力に衰えは感じません。
ここでは、セイクリムズンを馬場という視点から分析してみます。
(セイクリムズンの中央ダート馬場別成績・2013年6月終了時点)
良/水少【8・1・4・5】
良/水多【0・0・0・2】
稍/水少【0・0・0・2】
稍/水多【0・0・1・1】
重/水少【1・0・0・0】
重/水多【0・0・0・0】
不良【0・0・0・0】
ダート良/水少【8・1・4・5】複勝率72.2%に対し、良/水多〜不良【1・0・1・5】。
パサパサに乾いたダートを得意としている馬だということが見て取れます。
それが顕著に表れたのが2011〜2013年の根岸SとフェブラリーSで、その時の成績と馬場状態はというと・・・
・2011年
根岸S(良/水少)1着 フェブラリーS(良/水多)14着
・2012年
根岸S(良/水多)6着 フェブラリーS(良/水少)15着
・2013年
根岸S(良/水少)3着 フェブラリーS(良/水少)4着
根岸Sで馬券圏外になったのは(良/水多)の2011年のみ。
もう終わったかと思われた2013年の10番人気3着時は「稍重」で行われた地方の兵庫ゴールドT5着からの巻き返しでした。
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●馬場ファクター事例その2 アーネストリー
6歳で宝塚記念を制した馬。
淀みない流れを先行して押し切るだけのスタミナがあり、他馬が苦にするようなハイペースをもっとも得意とする馬でした。
ここでも、アーネストリーを馬場という視点から分析してみます。
(アーネストリーの中央芝馬場別成績)
良/水少【7・1・0・10】
良/水多【3・0・0・1】
稍/水少【0・1・2・1】
稍/水多【0・0・2・0】
重/水少【0・0・0・0】
重/水多【0・0・0・0】
不良【0・0・1・0】
良/水少【7・1・0・10】と10度の馬券圏外があるのに対し、良/水多〜不良【3・1・5・2】複勝率81.8%。
時計のかかる渋った馬場を得意としていることが成績から読み取れます。
また、時計のかかる洋芝で3戦2勝という実績を残していますが、同馬の渋った馬場適性を応用することで
「時計のかかる洋芝は得意なのでは?」「高速馬場は苦手なのでは?」という推測を立てることができるのです。
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●気候ファクター事例その1 マイネルスターリー
2010年函館記念勝ち馬。
8勝中6勝が北海道の洋芝という洋芝巧者で、毎年のように夏の北海道シリーズで好走していました。
ここでは、マイネルスターリーを気候という視点から分析してみます。
(マイネルスターリーの中央気候別成績)
寒(〜12℃)【0・0・1・5】
涼(12〜18℃)【0・0・0・11】
暖(18〜25℃)【6・1・1・7】
暑(25〜30℃)【2・0・1・4】
酷暑(30℃〜)【0・0・0・0】
気候/寒〜涼では【0・0・1・16】。気候/暖【6・1・1・7】と比較するとその差は歴然で、数字からはっきりとした好走・凡走傾向が見て取れます。
この結果から「マイネルスターリーは気候/暖〜暑で狙う」という予想を導き出すことが可能になり、
洋芝巧者というイメージの同馬を暖かい時期が合う馬という視点で捉えることができます。
もう一点、注目したいのが寒い時期→暖かい時期での「季節替り」による好走。
過去に同馬が6番人気以下で激走したレースとその前走レース時の気候を見ると・・・
・2011年
白富士S(気候/寒・6番人気6着)→巴賞(気候/暑・6番人気1着)
・2012年
新潟大賞典(気候/涼・14番人気8着)→エプソムカップ(気候/暑・15番人気3着)
2年連続で「季節替り」による激走をかましていたのです。
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●気候ファクター事例その2 メイショウサムソン
日本ダービーなどG1を4勝した名馬。非常にタフな馬で、デビューから日本ダービーまでに10戦を消化しつつ力を付けていきました。
その後も息の長い活躍を続けており、豊富なスタミナを活かして先行押し切りまたはマクリ差しというレースを得意としていました。
ここでは、G1に限定してメイショウサムソンを気候・季節の両面から分析してみます。
(メイショウサムソンの中央G1気候別成績)
寒(〜12℃)【1・0・0・3】(メイショウサムソンの中央G1季節別成績)
3〜5月【3・1・0・0】
G1で馬券圏外に敗れた6戦中5戦が気候/寒〜涼。反対にG1で連対を確保した7戦中6戦が気候/暖〜暑と極端な偏りが出ています。
3度使われた12月有馬記念では一度も馬券圏内に入ることができず、
馬が充実期にあった2007年秋も天皇賞・秋1着→ジャパンカップ3着→有馬記念8着と寒くなるにしたがって着順を落としていきました。
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