風データベースの開発背景
風のレースへの影響
事例紹介
全10場のコースマップと短評
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競馬の風は、いま最も注目されているデータのひとつ
ほかの屋外スポーツと同様に競走に影響
レース観戦を更に面白くする要素のひとつ
◇編集長のひとこと◇
風が競馬に及ぼす影響は明らかですが、それを可視化するのは容易なことではありません。競馬場内で観測は行われていますが、風情報は発表されておらず、映像だけではレースの風析は難しいものです。仮にそれが今後発表されたとしても、観測場所やセンサーの数などレース分析に役立つデータ、つまりを正しく捉えたものになるかは疑問が残ります。ただ、一方「風」への関心が年々高まっていることを実感します。このサイトで、季節馬の可視化に取り組み、レース気温のデータベースの構築をはじめて実現、発信し続けきましたが、ここ数年で「季節馬」が大きく認知されるようになってきました。この際、競馬場の風の可視化を、風のスペシャリストが様々な角度から分析し、特定する試みを開始します。データ的には、あくまで風の傾向、目安として捉えて頂き、レース分析などに役立てて頂ければと思います。
・ゴール直線追い風の場合差し有利、反対に向かい風では逃げ先行有利が定説
・風が強いほど負荷が大きく全体的に時計がかかりやすい
・風が強いほど負荷が大きく全体的に時計がかかりやすい
・特に勝負の鍵を握ることが多い上がり3ハロン、直線の風状況に注目すべき
・現況を優先、近隣の観測データ、競走データを総合的に「風の専門家」が判断
・一定エリアで一様に吹く風の目安として風速5m/s程度を強風の基準としている
・強風レースを特定できれば、タイム補正などレース分析に役立つ
・強風下で不可解なレース結果の分析材料になりうる
・風と位置取りから有利不利を特定しやすくなる
・過去のレース分析(時計や展開などを中心)に役立て、予想の検討材料にできる
・ライブ情報を生かす方法のひとつとして、個別の馬に焦点をあて、その馬の能力を発揮する上で有利か不利かを判断する
・現地の状況を優先して、近隣の観測データや競走データなどから総合的に分析しています。
※2010年6月12日以降のレース、2015年6月以降は個別検証済、9歳馬まで対応(2023年1月時点)
・風の強さを3段階で示しています
弱い風→弱
強い風→強
更に強く激しい風→激
・ゴールまたは向正面での直線の風向きを表します。
追い風→追
横風→横
スタンド→S
静穏→静穏
※スタンドとは、ゴール直線でスタンドに遮られる風向き。
・2016年皐月賞(追い風・激風・差し)
2016年4月の皐月賞は、上がり順位1・2・3位の馬が馬券圏内を独占し、向正面で向い風の影響を受けにくい後方に待機していた馬のワンツーフィニッシュとなりました。これは、前半5Fのペースが58.4秒となったことが大きな要因として挙げられますが、その前半のペースを作ったのは1コーナーまでの追い風で、差し決着となった要因は風であったと読むこともできます。
図表�,�2010年から2019年の10年間、良馬場で行われた皐月賞の風速・風向きとペースの関係を表したものです。(2011年の東京開催は除く)。ゴール前の直線が強い追い風だったレースを青く塗っています。
図表を見てわかるように、ゴール前直線で3m以上の追い風が吹いていると、レースの前半ペースが速くなる傾向が見られます。特に風速の強かった2013年と2016年の極端に前半速いペースが目立っています。このデータから考えられることをご説明しましょう。


中山の芝2000mはスタートから2コーナーまでの直線を走ります。このとき、追い風が吹いている場合、まだ馬群が形成されていないスタート直後に、先行争いも相まって馬のスピードが速くなることが推測できます。
その勢いでコーナーに入っていくと、前半3F、5Fのペースが速くなるということです。つまり、皐月賞の分析から、1コーナーまでの追い風によってレースのペースが変化する可能性が明らかになりました。
出典:三宅誠(2020) 『スポーツ×気象の分析 競馬も「自然」との闘いだ』サンライズパブリッシング
■目黒記念の記録的な上がりの要因は風?
ダービー後の17時に目黒記念が行われるようになって16回目を迎えた目黒記念。馬券内3頭が、人気+中穴+大穴の組み合わせになって波乱のレースになることが多く、穴党には楽しみなレースのひとつである。レース結果はその傾向通り、またしても、着順は8→2→15番人気で3連単99万円の大波乱となりました。
このレース、走破タイムが2分32秒8でスローの決着だったが、上がり3ハロン33秒台がなんと12頭、32秒台が5頭もいました。過去10年で上がり33秒台だったのはルメール騎乗のフェイムゲームの一頭のみ、もともと坂を二度超えるため持久戦になり総じて上がりを要することが多いので、この数字の異常さがお分かりだと思います。この週末の東京は全体的に速い時計が出て、馬場は高速化していましたが、それだけでは説明できません。
このレース時は東寄りの風が強く、私の分析では秒速6m前後の強風が吹いていました。
その場合、向正面では向い風、ゴール直線では追い風となります。上がりが例年より異常に速かった要因は風とみます。牝馬には敷居の高いレースでしたが、勝ったのはウインキートス(牝・4歳)。向い風の向正面で逃げ馬をぴったりマーク、ちょうど風よけにして2番手追走できたのが勝因。追い風の直線では各馬、例年以上の上がりを繰り出す中、位置取りのアドバンテージがあって快勝した形。競馬における風は大きなファクターのひとつです。
■強烈な風雨に見舞われた新潟ほか
常々、JRAの開催カレンダーは天気など気象状況を細かく分析して作成されていると捉えています。特に雨期や気温、芝の育成の観点から綿密に練られた開催スケジュールですが、今年は京都競馬場改修の影響で変則開催に加えて、東日本大震災の大きな余震での被害から1回福島開催を新潟に変更した特殊要因が重なっています。
まず頭に浮かんだのは、一年を通じてオール野芝の開催となる新潟だけに芝の保全の問題。この時期は東京に比べて、新潟は気温が低く芝の成長は遅い、見た目も黄色く洋芝・オーバーシード以前の時代に戻ったような感覚の映像でした。
そして、今週は西高東低の冬型の気圧配置が現れ、冬であれば雪になるところでしたが、なんとレースの大半が気温12度以下の「寒」となり、加えて風雨が強まりました。通常の5月開催であればありえない天気の出現です。
日曜は、南西の風が平均的に10m/sを超えて、一時暴風警報も発令される状況でレースにも大きな影響を与えることになりました。広いコースでワンターンのレースが多いのが特徴の新潟ですが、その向正面で強い追い風が吹きつける前半、ハイペースになることが多く、ダート1200mの未勝利戦で前半32秒台、後半37~38秒台の極端な前傾ラップが生まれました。映像を見ていても前後半の馬の動きが明らかに違い、直前では強風に煽られながら追っている状況。メインレースもワンターンの2000mの福島民報杯、前半35.0秒に対して後半3Fは上がり最速が39.3秒と冬の乾いたダート戦でたまにある位、時計を要しました。馬場差に加えて風差1~2秒あったとみます。
このような風の場合、向正面で先行し直線粘りこむ形が優位、差すなら直線で前の馬を壁にして位置取りを上げて、ゴール前で馬群を抜け出す形がベストです。一瞬の切れに賭ける乗り方では、風圧を考えると物理的に厳しいです。









