2011年11月22日
■個々の馬分析
・ヴィクトワールピサ
急坂や重い馬場など、パワーやスタミナが要求される状況がベスト。皐月賞で、荒れたインを1頭グングン伸びたのが象徴的。よって、東京ならば、昨年のように先行して粘りこむ競馬が理想。デムーロ騎手が特性を掴んでいる印象で、有馬記念やドバイWCのように、早めのスパートを仕掛けてくる。休みは長いものの、先行馬が少なそうなメンバーでもあり、軽視はできない。
・ウインバリアシオン
ハーツクライ産駒は、この馬のみならず東京芝2400mでの成績が優秀。ダービーでの走りから、馬場が渋ったら相対的に有利となる。ただし、脚質的に、あまりペースが落ち着きすぎるようだと届かない不安も。
・エイシンフラッシュ
前走はいつになく先行したが、結果的にハイペースに巻き込まれた。2000mは多少この馬にとって短いため、ダービーを勝利した2400mに変わるのは良い。器用さがある内枠巧者なので、内枠に入るのが理想。やや勝ちきれない面があるも、軸としての信頼性は高い。
・シャレータ
凱旋門賞2着で、先着した相手にはスノーフェアリーもおり、単純な能力比較では上位の存在。ただし、父は凱旋門賞馬のシンダーで、母父はサドラーズウェルズ系という血統背景から、欧州の馬場から日本の馬場に変わって上積みがあるか微妙ではある。
・デインドリーム
前走凱旋門賞で圧勝。単純な能力比較では最上位と言ってもよい存在。ただし、凱旋門賞を5馬身差圧勝後にジャパンCで1番人気3着と敗退したエリシオをはじめ、トニービン、モンジュー他、凱旋門賞勝ち馬はいずれもここで敗退しているように、強さが欧州の重い馬場に特化している可能性も否定できない。人気の一角になりそうであり、強さに敬意を表しつつもここは評価は下げる。
・トゥザグローリー
前走で復調気配。緩い流れの方が良さが出るため、前走より距離短縮時よりも、延長時の方が成績が良いタイプ。その意味では、2400mへの距離延長はプラス材料。
・トーセンジョーダン
多少距離が短いと判断した天皇賞(秋)だが、超ハイペースでスタミナを問われる展開となったこともあって勝ちきった。本来東京ならば、前走の2000mよりは今回の2400mの方が向く。ただし、レコード決着を勝ちきった反動が少々不安。
・ブエナビスタ
東京適性、能力ともに上位。長らく勝ちきれない競馬が続いており、多少の衰えを指摘して評価を落とした前走が悪くない内容。ここも条件は向くので大きく評価は落とせないが、前走の敗退が前が詰まったためとの認識が多いことで、人気も落ちないことが予想される。よって、相手の1頭として様子見。
・ペルーサ
前走の東京芝2000mは、ゼンノロブロイ産駒が最も得意とするコースで、ペルーサ自身も向く条件だった。ペースが向いたのもこの馬には幸いとなった。前回は、過剰人気になりがちなこの馬にしては落ち着いた人気で狙い目だったものの、今回は2走目で人気も上がりそう。能力自体は高いので、来られても不思議ではないが、出遅れのリスクを常に抱える馬でもあり、妙味は前走にあった印象。
・ローズキングダム
前走は、結果的にハイペースに巻き込まれた形。消耗戦も合わなかった。ここはスローになりそうなメンバーで、前走よりは着順を上げてこられる要素はある。重馬場はあまり向かない。良馬場で瞬発力勝負に持ち込める形がベスト。
■展望
4年連続で日本馬のワンツースリーとなっているレース。また、すでに日本馬上位のレースと認知されているため、近年は外国馬があまり人気にもならない。
今年は、外国馬の出走馬自体が少ないが、デインドリーム、シャレータと、凱旋門賞の1、2着馬が参戦してきており、頭数が少ないわりには質は高い。ただし、それでも瞬発力勝負になりやすい東京競馬場で行われる以上、この馬場に適性がある日本馬に地の利がある。
その中では、昨年のダービー馬エイシンフラッシュに注目。勝ちきれない競馬が続いているが、東京芝2400mはベストの条件。前走はハイペースがたたっての凡走で度外視可能。器用なため、できれば内枠が欲しい。
人気馬の中では、騎手が手の内に入れているヴィクトワールピサが休み明けでも軽視できない存在。仮に、休み明けのために人気を落とすようなら、ここから入る手も。
昨年のJC馬ローズキングダムも、巻き返しが期待できる1頭。良馬場で、かつスローペースならば、この馬の瞬発力が生きる。前走はハイペースで先行したことに加え、消耗戦自体が向かなかった。良馬場ならば。トゥザグローリーも、ローズキングダムと似たタイプで、こちらもできれば良馬場が理想的。
逆に、雨が降ったり、想像以上に時計がかかったりした際に特に怖いのはウインバリアシオン。良馬場でももちろん走れる馬だが、他馬が気にする分、相対的にこの馬が浮上する。
5年前3着のウィジャボード以来、外国馬を1頭も高評価していないが、質が高い今年も同じ方針で馬場適性がつかめている日本馬を上位にとる。
（競馬天気：火曜コラム・sper「重賞×オープン馬分析」より）
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