2011年11月15日
■個々の馬分析
・イモータルヴァース
父Pivotalはヌレイエフ系のスプリンター。スピードの持続力が問われるような流れで持ち味を出せる印象。ハイペースの消耗戦ならば。
・エイシンアポロン
重馬場巧者であり、前走では外が伸びやすい馬場や距離短縮臨戦もあって順当勝ち。デイリー杯2歳Sで好走はしているが、平坦な京都外回りマイルはこの馬には忙しく、適性は若干ずれる。能力は高いが、雨が降ったり、超ハイペースになったりするような助けが欲しい。
・エーシンフォワード
昨年は、高速馬場でスピードが要求されるレースになって完勝。このとき、内に潜り込んで快勝したように、馬群は全く苦にせず、多少荒れた内を通っても大きく減速しない。ここ10走で、8回が7〜8枠となぜか外枠ばかりを引く馬だが、本来は内枠巧者。前走では内枠先行決着を外から6着まで追い上げており復調気配。うまく内枠でも引ければ、2年連続の激走があってもおかしくない。
・キョウワジャンヌ
前走は内枠を最大限に生かしきった好騎乗。枠と展開の恩恵はあったものの、近走の充実振りも見逃せない。差し馬のわりには器用にコントロールできる馬なので、できればロスの少ない内枠が欲しい。
・グランプリボス
母父のサンデーサイレンスの良さが出ているようで、マイルでも結果を残してきた。ただ、それでも父はサクラバクシンオー産駒だけに、古馬混合のマイル戦ならば、スピードが要求される高速馬場にならないと苦しいように思える。G1週は、昨年のマイルCSの週のように、突如として高速馬場になるケースがあるので、土曜の競馬で馬場を見たうえで判断したい。
・サプレザ
これで3年連続の出走。過去2年は3着、4着と大崩れのない競馬で、日本の馬場への適性はそれなりにある。2年前はスローペースで前につける競馬、昨年はハイペースで差す競馬と、自在性あって安定した競馬が可能。
・シルポート
展開の鍵を握る存在。毎日王冠ではスローに落としすぎて失敗したが、天皇賞では逆に飛ばしすぎた。この「飛ばしすぎ」を反省してペースを落とし気味にするか、今回も飛ばすかを判断するのが難しい。ためて良い馬ではないので、前走のように玉砕覚悟で離して逃げた方が持ち味が出る。マークされたくないので、人気が落ちれば落ちるほど良い馬。今年勝った重賞は、いずれも7番人気と人気薄だった。
・マルセリーナ
広いコースや、スローの瞬発力勝負で持ち味が出る馬。前走は小回りで、かつ不利な外枠での凡走で度外視可能。人気を落としそうな今回は、穴候補の1頭として一考。
・ミッキードリーム
朝日チャレンジCは成長を感じる内容。毎日王冠で、今回人気のリアルインパクトとも差のない競馬をしており、この2頭の力差はそれほどないと判断。前走は、ハイペースの中で5番手と先行しながら、8着に粘ったのはむしろ健闘の部類。前走より距離短縮の時は全て馬券になっている馬で、短縮適性も高く臨戦的に面白い。
・リアルインパクト
ディープインパクト産駒の中では器用さに秀でている馬。先行でき、かつ速い上がりを使えるので安定して走れる。あまりハイペースは好まないので、シルポートの出方が鍵になりそう。
・リディル
前走は、内枠先行有利な馬場の恩恵はあったものの完勝。直線が平坦で外回りの京都芝1600mへの適性はある。ただし、スワンS勝ち馬は、本レースとの相性が悪い。適性的にはスローの瞬発力勝負になるのがベストで、こちらもシルポートの出方が鍵になりそう。
・レインボーペガサス
前走は逃げる競馬。早めに仕掛けて後続の脚をなくさせる乗り方は合っているため、逃げるのも悪くはないが、前走時は逃げ馬に苦しい馬場状況が響いた。行く馬自体はあまりいないため、ある程度展開利が見込める今回は巻き返しも。過去、京都芝外回りでは5戦して全て馬券になっているように、直線が平坦で広いこの条件は向いている。
■展望
まさに大混戦。
リアルインパクト、リディルあたりが人気を形成しそうであるが、絶対的存在とはいえず、他馬との差は大きくない。例えば、1番人気が予想されるリアルインパクトは、グランプリボスとの対戦成績が0勝4敗で、前走では今回人気薄になりそうなミッキードリームとも0.1差の競馬。昨年1着のエーシンフォワード、2着のダノンヨーヨーも、今回はいずれも人気薄が予想され、人気薄まで実績馬が並ぶ。
展開の鍵を握るのはシルポート。この馬が、前走の「飛ばしすぎ」を反省してペースを落とすか、それとも持ち味を生かすために一定以上で飛ばすか。それを判断するのは困難であるが、昨年よりは行く馬やスプリント寄りの馬が少ないため、レコードが出た昨年ほどのハイペースにはならないのではと考える。
穴馬は多彩で、どの馬もそれなりに理由付けして買えそうな反面、絞り込みが難しい。現時点では、天皇賞(秋)で厳しい競馬をして、毎日王冠の内容から今回1番人気が予想されるリアルインパクトとの力差はほとんどないミッキードリームが、穴の中で最も面白い存在と考えている。
ただし、ある程度ペースが上がり、内枠を引いたときのエーシンフォワード、京都外回り巧者のレインボーペガサス、速くなりすぎなければのマルセリーナなど、条件次第で浮上が見込める穴馬が多数。力差がないだけに、枠や天気、人気、当日の馬場状況などから、柔軟に選択していきたい。
（競馬天気：火曜コラム・sper「重賞×オープン馬分析」より）
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