2010年10月28日

【天皇賞・秋】ペルーサ65秒6楽々併入後に“秘策”

復権に懸けるトップトレーナーの執念だ。ペルーサには栗東から駆けつけた安藤勝が騎乗。実戦で2度騎乗した名手を呼び寄せただけでも気合は伝わるのに、さらなる“秘策”を用意していた。

 朝一番の芝コースで僚馬レッドシューター(5歳準オープン)を追走。手綱を抑えたまま、5F65秒6と地味な時計で楽々と併入…まではよくある光景。問題はその後だ。馬道出口から引き揚げてくると、安藤勝を乗せたままゲートの方へ。報道陣もつられて大移動。衆人環視の下、馬は嫌がることもなくゲートに入り、中でじっと落ち着いて駐立。ゲートが開くとポンと出た。

 藤沢和師は切り出した。「ここ2戦は出遅れでファンの方に迷惑をかけて…。普段のペルーサも知ってもらった方が安藤君も安心できると思い、来てもらった。ゲート練習?追い切り後、落ち着いていればやらなかったが、チャカついていたし、たくさんの人がいるのでこれはチャンスと。きょうはちゃんと駐立していたね」

 さすがは通算1046勝の名伯楽。静かな場所で何度練習を積んでも効果は薄い。天皇賞当日は大観衆必至。報道陣が多数いる追い日こそ、テストには最適だった。昨年4月、ジャガーメイルの天皇賞・春1週前追い以来、1年6カ月ぶりに美浦を訪れた安藤勝は「イメージが変わった。競馬の時はテンションが上がるけど、普段はどっしりしておとなしくて、ずるい面がある。だから甘やかさず、厳しくあたった方がいいかも。自分の競馬ができれば、と思う」と確かな手応えをつかんだ。

 3歳の天皇賞・秋優勝は96年バブルガムフェロー、02年シンボリクリスエス。いずれも藤沢和師の管理馬だ。「毎日王冠(5着)は外を回り、息遣いも良くなかったがあの着差。中間はゲートだけじゃなく、調教もみっちり積んだ。互角のスタートが切れれば…。先輩たちに負けない力は持っていると思う」。人事を尽くした指揮官は5度目の天皇賞・秋制覇を見据えている。

スポニチアネックス - 2010/10/28 7:03