2010年10月28日

【天皇賞・秋】底知れぬ潜在能力!ブエナビスタ究極の11秒8

最強牝馬が衝撃の走りを披露した。「第142回天皇賞・秋」の最終追いが行われ、G1・5勝目を目指すブエナビスタが栗東CWコースで躍動。迫力たっぷりにラスト1F11秒8をマークした。天皇賞・秋の枠順は28日に確定、29日からウインズ後楽園、新橋で午後2〜7時に前々日発売される。

 ブエナビスタの潜在能力は、競馬ファンの認識をはるかに超えたレベルにあるのかもしれない。凄まじいばかりの最終追いに、その一端が垣間見えた。

 藤原助手を背にCWコースで単走。軽快なピッチを刻むと、向正面で150メートル以上は前を走っていたはずの僚馬パントクラトール(3歳1000万)に4コーナー過ぎで追いついてしまった。

 残り200メートル、馬なりでパートナーを抜き去る。ステッキを抜くと重心が低くなり、四肢の回転がいきなり速くなった。ハミをかませると、首を使って一気にトップスピードへ。ゴール前50メートルで、再度手前(軸脚)を替え、グッとひと伸び。まるで2段ロケットのような加速でゴールへと飛び込んだ。6F83秒3、1F11秒8。指示への反応の速さ。最高速でも手前を替えられる技術、そして余裕。究極の追い切りを目の当たりにし、記者席は静まりかえった。

 「しまいだけビシッといった。これで十分。ひと夏越しての変化はあまりないが、変わらないことがベストだ」。松田博師は納得の表情で切り出した。春は体調維持に苦しんだ。ドバイから帰国後、状態は一向に上向かなかった。ヴィクトリアマイルは格の差で押し切ったが横山典が「歩様が硬かった。よく勝った」と漏らすほどだった。

 この秋は違う。北海道での放牧から9月15日に帰厩、順調に調教を積んできた。よほど自信があるのか、記者会見で師は「年度代表馬を狙いたい。獲れるところは全部獲りたい」とぶち上げた。天皇賞、ジャパンC、有馬記念を勝てば当然、候補の筆頭となる。歴史に残る大仕事をやってのけるだけのコンディションにあると師は見ている。

 久々にベストの状態で臨む大一番。持てるポテンシャルを出し切った時、最強牝馬はどれほどの切れ味を発揮するのか。想像を超えたブエナビスタの強さに日本中が息をのむに違いない。

スポニチアネックス - 2010/10/28 7:03