2012年04月05日

【桜花賞】サウンド 関東牝馬流さらり12秒0

女王の座は譲らない。牝馬クラシック第1弾「第72回桜花賞」の追い切りが美浦、栗東両トレセンで行われた。美浦ではサウンドオブハートが坂路を軽快に駆け上がり、好調をアピール。管理する松山康久師(68)、手綱を取る松岡正海騎手(27)とも気合十分だ。注目の枠順は5日、確定する。

 大一番が目前に迫っても伝統の調教法は不変だった。サウンドオブハートが単走で軽快にフットワークを伸ばしながら、坂路を駆け上がってくる。鞍上・寺島助手の手綱は最後までピクリとも動かない。前日から吹きやまない強い追い風に乗って、馬なりのまま4F54秒2〜39秒3〜12秒0。「よし、最高の動きだ!!」。時計を確認した松山康師は満足そうな表情を浮かべた。

 「ご覧の通り、軽く流した程度で時計も決して速くない。でも牝馬はね、1週前にぎっちり仕上げておいてレース週は微調整でいい。それが稲葉先生の時代から続いている牝馬の仕上げ方なんだ」。41年阪神優駿牝馬(現オークス)のテツバンザイから82年旧エリザベス女王杯のビクトリアクラウンまで牝馬3冠レースで9勝を挙げた関東随一の名伯楽、稲葉幸夫調教師(故人)の名を挙げて、同師は力説した。

 3月31日には坂路で4F49秒3の猛時計。手綱を取った主戦・松岡は「460キロ前後の馬体なのに520キロの馬に乗っているような力強さだった。しかも加速していく時のスピードが桁違い。あの追い切りで馬体もできたと思う」と振り返る。関東の伝統的な牝馬調整法で青写真通りに仕上がった。

 1月の紅梅Sからの直行も予定通りのローテーションだ。「トライアル出走も少し考えたが、レース後にテンションが上がるので無理に使うつもりはなかった。気のいいタイプだから間隔が空いていても大丈夫」と松山康師は言い切る。

 同師悲願の牝馬クラシック獲りを託された松岡にとっては昨年10月の芙蓉S以来のコンビ。「ケガでこの2戦乗れなかったのにチャンスを頂いた。結果を出すしかない。この馬でG1を勝たずに、どの馬で勝つんだという心境。強い関西馬もドンと来いだ!!」。力強い言葉で揺るぎない手応えを表現した。

(スポニチアネックス)