2010年11月18日

【マイルCS】キンシャサ名手で新味12秒4

「第27回マイルCS」の追い切りが17日、栗東、美浦両トレセンで行われた。美浦ではキンシャサノキセキがエリザベス女王杯を制したライアン・ムーア(27)を背に快走。高松宮記念の覇者がマイルで大仕事をやってのける出来だ。

 併せ馬といっても並んだのは一瞬だけだった。ムーアを背にポリトラックコースでアルジェンテウス(3歳500万)を2馬身追いかけたキンシャサノキセキ。首をグッと丸め、序盤から気合満点だ。僚馬の背後で落ち着かせ、4コーナーではインへ。直線を向くと並ぶ間もなく2馬身前に出た。その差を維持したまま2馬身先着。5F65秒1〜1F12秒4。これまでは荒々しい印象だったが、ずい分とスマートで大人びた追い切り。キンシャサの新たな一面を披露した。

 「もう仕上がっている。息遣いもいい。日曜が楽しみになった」。ムーアは笑顔を見せた。調教で大事なことは馬の性格、動き、感触を五感で感じることだと語った英の名手は、キンシャサのレースVTRも既にチェック済み。「馬が勝ち方を知っているね。でも、先入観にとらわれず、実際に乗った感触を大事にしたい」と自分の感性を優先させる考えだ。もともとがマイペースの男。女王杯での後検量問題こそあったが、気持ちの面で引きずっているような様子はみじんもなかった。

 橋本助手の手応えもいい。「抜け出した時の瞬発力が凄かった。年齢(7歳)を全く感じさせないね」。この追い切りではハミの位置を正しく保つ馬具「ハミ吊(つ)り」を初めて着用。ムーアの提案に応えたものだが、検討の結果、レースでの着用は見送り、普段通りリングビット(ハミ受けを助ける馬具)に戻すことを決めた。重要な一戦の最終追いで何かを試すことができる陣営の余裕が頼もしい。

 「絶好調で上積みも十分。マイルは久しぶりだが最近は1400メートルでも引っ掛からなくなった。折り合いに心配はしていない」(同助手)。08年スポニチ賞京都金杯以来、実に2年11カ月ぶりのマイル戦。大人びた今のキンシャサなら、ピタリと折り合って楽に抜け出すシーンも十分だ。

 ≪過去2勝≫キンシャサノキセキは芝1600メートルで過去2勝をマーク。3歳時はジュニアCを引っ掛かりながらV。4歳時のキャピタルSではエアシェイディ、シンボリグランなど強豪がそろう中、直線半ばで先頭に立って押し切った

スポニチアネックス - 2010/11/18 7:04