2010年12月02日
【JCダート】トランセンド、スピード卓越
「JCダート・G1」(5日、阪神)
勢いは本物だ。最終追い切りが東西トレセンで1日、行われ、みやこSで重賞2勝目をつかんだトランセンドが、栗東坂路でスピード感にあふれる動きを披露した。強力な同型が不在で先手奪取が濃厚だ。自慢のスピードでG1初挑戦をVで飾る。
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G1の舞台でも持ち前のスピード勝負で堂々と渡り合える。昨年のレパードSに続き、みやこSで重賞2勝目を挙げたトランセンドは栗東坂路を単走で追われた。序盤から14秒0‐12秒8と速いラップ。馬のリズムに任せて、楽な手応えでこう配を突き進んで行く。最後まで余力を残し、4F51秒1‐37秒1‐12秒4の好タイムを記録した。
表情から目下の充実ぶりがうかがえる。動きを確認した安田師は「前走後も順調にここまでこれました。先週がポリトラックで、当週は坂路がこの馬のパターン。少し余裕を残す形で、いいケイコだったと思う。万全で出走できる」。11月24日のDPでは6F76秒2‐12秒4を馬なりで計時。2週続けての迫力のある動き、描いた通りの仕上がりに目尻を下げる。
前走は先手を奪って、後続をシャットアウトした。ここも展開のカギを握る存在なのは間違いない。「向正面で自分のペースに持ち込むと、しまいまでしっかりと伸びてくれた。枠にもよるが、やはり行く形がベスト。年齢を重ねて、走りを覚えてきたのかな。体つきは変わっていなくても、精神面で大きく変わってきている」。スタイルを確立させ、力をフルに発揮できるようになった。
東海Sから手綱を任されて(2)(2)(1)着と結果を残す藤田も力を信頼する。「おとなしくて、乗りやすい。いい意味でつかみどころがない馬だね。この馬の競馬をするだけ。ハナに行って、あとは阪神の坂でどこまで辛抱できるか」と急こう配を勝利のポイントに挙げる。
師にとって、33回目のG1挑戦。念願の初Vを夢みる。「G1でもいい成績を残せるんじゃないか、とこの馬に期待する思いはあります」。“超越”した走りで師走の砂の王者に駆け上がる。
デイリースポーツ - 2010/12/2 9:26