2010年09月29日

【スプリンターズS】サンアディユの戦績と重なるジェイケイセラヴィが波乱の使者に

★ポイント1「7枠」
→過去10年、7枠に入った馬の成績は【4・1・3・12】複勝率40%。2008年スリープレスナイト、2009年ローレルゲレイロと2年連続で7枠を引いた馬が勝利を収めている。中山1200mという施行条件的に内枠を狙いたくなるが、距離損はあろうとも不利を受けにくい外枠の先行馬が良績を残していることは興味深い。
(スリープレスナイト、ローレルゲレイロetc)

★ポイント2「逃げ馬」
→過去10年、逃げた馬の成績は【4・1・1・4】複勝率60%。ローレルゲレイロが逃げ切った昨年のレースが記憶に新しいところだが、逃げ馬の活躍が目立つレースである。ただ、逃げで馬券圏内に入った馬はすべて6番人気以内の馬であり、人気薄の逃げ馬を狙うには少々酷かもしれない。
(アストンマーチャン、カルストンライトオetc)

★ポイント3「香港馬」
→過去10年、香港馬の成績は【1・0・1・3】と出走した3頭中2頭が馬券に絡む活躍を見せている。サイレントウィットネスほどの馬でも着順を落としたように2回目の参戦では成績が落ちてしまう傾向にあるが、初参戦であれば日本馬をまとめて負かしてしまう可能性を秘めている。
(サイレントウィットネス、ケープオブグッドホープetc)


サクラバクシンオーが圧倒的な強さを知らしめ、香港最強スプリンター・サイレントウィットネスが日本馬をなで斬り、デュランダルが常識破りの大外一気で突き抜けたスプリンターズS。短距離路線を歩んできた馬にとって一年の締めくくりとなるビッグレースだ。

近年、スプリント路線の低レベル化がまことしやかに囁かれているが、今年は現時点で国内最強のスプリンターを決するにふさわしい豪華メンバーが揃った。昨年の覇者・ローレルゲレイロ、高松宮記念を4連勝で制したキンシャサノキセキ、ハナ差で2度GIを獲り逃し、3度目の正直を誓うビービーガルダン。これにサマースプリント女王・ワンカラットが絡む構図は好勝負を予感させるには十分過ぎるだろう。

そして、このハイレベルな戦いに拍車をかけるのが香港馬2頭。前哨戦となるセントウルSで59kgを背負いながら上がり最速の脚で2着に追い込んだグリーンバーディー、そのグリーンバーディーを香港で負かしているウルトラファンタジー。過去10年で【1・0・1・3】とスプリンターズSと相性の良い香港馬が日本馬をまとめて負かしてしまうシナリオも十分考えられる。

香港馬を迎え撃つのは前述の日本馬の大将格となる4頭だが、不安要素がまったくないわけではない。ローレルゲレイロはキーンランドカップで4着以下に敗れた馬が一度も馬券圏内に入っていないという不安。キンシャサノキセキは取消で結果的に高松宮記念からのぶっつけ本番になってしまったというローテーションへの不安。ビービーガルダンは内枠への不安。ワンカラットは急坂の1200m&関東圏での実績がないという不安…どの不安要素に目をつぶり、どのプラス材料を拾い上げるかが取捨選択のポイントになりそうだ。

また、スプリンターズSの傾向として「芝・ダート兼用馬の好走が目立つ」というものがある。スリープレスナイトやサンアディユ、メイショウボーラーなどがそれに当たり、先週の土曜中山のように馬場が悪化して力の要る馬場で行われるとしたら昨年のスプリンターズS4着のアイルラヴァゲイン、重賞連続2着のジェイケイセラヴィといった芝・ダート兼用馬の激走もあり得るかもしれない。


【データで見るオススメ馬】

★グリーンバーディー
→セントウルSでは、59kgを背負いながら上がり最速の脚で2着に追い込んだ。前哨戦としてはパーフェクトといえるレース内容で、上積みは必至だ。過去10年で【1・0・1・3】と香港馬がスプリンターズSと好相性ということ、セントウルS2着→スプリンターズS1着の外国馬・テイクオーバーターゲットの例もあることから楽勝まであっていい。

★ジェイケイセラヴィ
→新潟直線1000mのアイビスサマーダッシュと1200mの重賞両方の連対歴があるのは出走馬中で同馬だけ。スプリンターズS出走時点でこの条件を満たしていた馬は【0・2・1・3】複勝率50%と好成績を残しており、芝・ダート兼用馬、アイビスサマーダッシュ&芝1200m重賞連対馬というのはサンアディユとまったく同じ。それぞれ適性の異なる重賞で2着に入っているにもかかわらず人気の盲点になりそうな今回は怖い。

★ワンカラット
→2007〜2009年まで、牝馬と前走重賞勝ち馬が連対しなかった年は一度もない。同馬はその両方を満たしており、スプリント路線転向後は3戦2勝3着1回と底を見せていないのも魅力。急坂の中山が懸念されるところだが、先行して速い上がりを使えるタイプで阪神の坂をこなしているだけに、大きなマイナス材料とまでは言えないはずだ。

【ローテーションで見るオススメ馬】

★ビービーガルダン
→昨年の2着馬。キーンランドカップからスプリンターズSというローテーションは一昨年、昨年とまったく同じで、前走4着は内枠を引き、包まれたのが痛かった。内枠を引かないという但し書きが必要になるが、スムーズなら巻き返す可能性は高いだろう。マイネルキッツをはじめ、同じ条件で何度も好走するのがチーフベアハート産駒の特徴でもあり、前走で衰えたと判断するのは早計だ。

【血統で見るオススメ馬】

★アイルラヴァゲイン
→エルコンドルパサー産駒の牡馬は中山芝1200mで【3・1・6・14】複勝率41.7%。先週のセプテンバーSでも最低人気のダンディーズケアが3着に激走したように中山1200mは大得意だ。同馬も2度参戦したスプリンターズSで3着・4着と好走しており、時計がかかる馬場状態であれば大駆けがあってもおかしくない。

(田原基成:競馬天気・火曜コラム「データ分析」、会員向けにはシリウスS、札幌2Sも掲載中)